確定申告 「青色」と「白色」
こんにちは。
税理士のさっさんです。
今日は確定申告書の「色」による違いについて書きます。
確定申告書を提出する場合の「色」。2種類あるのをご存知でしょうか?
「青色」と「白色」です。
どう違うのか?
「青色」は、「白色」に比べて記帳に手間がかかりますがその分税制上の
特典を受けられます。
では、どのような特典があるのでしょうか?
① 家事関連費の取扱い(昨日の記事の続きです。)
昨日の記事で、家事関連費のうち必要経費に算入できる金額は「青色」
と「白色」で異なると書きました。その理由は「所得税法施行令96条
の2項」の記載があるためです。
※96条の条文は前日の記事をご参照ください。
この「所得税法施行令96条」では、「家事関連費のうち必要経費に算
入できる金額の範囲」を示しています。
96条の1項は、青色と白色共通の規定です。この条文のポイントは、
「主たる部分」という表現です。
「仕事とプライベートの両方に関係する支出があった場合に、仕事に係
る部分の方が大きい支出なら、その仕事に係る部分の支出は必要経費とし
ていいですよ。」ということです。つまり、支出額の50%以上は仕事に
関するものでないと必要経費に算入できないことになります。
96条の2項の規定は、「青色」に限定されています。この文章には
「主たる部分」という表現がありませんよね。
よって、「青色」については支出額の50%以上が仕事に関する支出でな
くても必要経費に算入することができることになります。
② 青色申告特別控除が受けられる
複式簿記(※)により記帳することを要件として、65万円の控除を受
けることができます。
所得税率が20%の方でしたら、65万円✕20%=13万円所得税の
負担が少なくなります。
※複式簿記は、仕訳を起こして、科目ごとに元帳に転記して、残高試算
表を作成して・・・という作業が必要になりますが、巷に流通してい
る会計ソフトを使用すれば、仕訳の入力をすることにより複式簿記で
記帳されていることになります。
③ 青色事業専従者給与を必要経費に算入できる
事業主と生計を一にする配偶者等が、その仕事に専従する場合には、そ
の配偶者等に対して支払う給与を必要経費に算入することができます。
※税務署への届出が必要です。
④ 少額減価償却資産(30万円未満の減価償却資産)の必要経費算入
10万円未満の消耗品は「青色」「白色」関係なく必要経費に算入する
ことができます。10万円以上30万円未満の消耗品については、「青色」
については年間300万円までの金額を限度として必要経費に算入するこ
とができます。
⑤ 損失の繰越控除が認められる。
開業してから軌道に乗るまでは、経費が先行して赤字になることも考え
られますよね。その場合、その赤字を翌年以後の黒字から控除できるとい
う制度です。
例えば、
令和元年・・・△100万円
令和2年・・・+200万円
の所得だったとします。
令和元年は赤字なので、所得税は0円です。
令和2年の所得税は、
(200万円-100万円)✖5%(所得税率)=5万円となります。
これが白色だったら、損失の繰越ができませんので
200万円✖(10%-97,500円)=102,500円
↑ 所得税率
となります。
※赤字を繰越すことができるのは3年間に限定されています。
他にも特典はありますが、ざっとこんな感じでしょうか。
そうはいっても帳簿つけるのめんどくさいしなー、俺は白でいいやー
って方も一定数おられます。
平成26年に白色でも記帳と帳簿の保管が義務化されました。この義務
化によって青色と白色の手間の差が狭まりました。
個人的には「青色」をお勧めしますけどね。。。