アパート経営で節税? 所得税編
こんにちは。
税理士のさっさんです。
今日は、「アパート経営をしたら節税になるのか?」について書きます。
「節税になりますよ!」的な宣伝広告ってよく見かけますよね。
なぜ節税になるんですかね?
例えば、会社経営者で給与が年間1200万円の方がいたとします。
この方がアパート経営を始めた場合、「給与所得」ってものに「不動産所得」ってものが加わるんです。そうなると、この方は確定申告をすることになります。
確定申告をするときは、「給与所得」と「不動産所得」を合計するんです。これを「損益通算」といいます。
「だったら所得が増えるんじゃないの??」って思いますよね?
たいていの場合、最初のころは「不動産所得は赤字」になるんです。
具体的な数字で示しますね。
~前提条件~
① アパートの本体価格 7,000万円
② 空調、衛生等の設備 2,500万円
③ 敷地の舗装・フェンス等 500万円 →建築費 1億円
④ 借入金・年利 1億円・2%
⑤ 想定家賃収入(6%) 600万円(年)
⑥ 管理費(収入の10%) 60万円
⑦ 1月から賃貸開始
~計算~
① 収入:600万円
② 借入金利息:1億円✕2%=200万円 ※概算です。
③ 管理費:600万円✕10%=60万円
④ 減価償却費
※ 減価償却費の計算方法については過去の記事をご参照ください。
(ア)本 体:7,000万円✕0.038=266万円
(イ)設 備:2,500万円✕0.067=167.5万円
(ウ)構築物: 500万円✕0.100= 50万円
減価償却費 計:483.5万円
⑤ ②+③+④=7,435,000円
⑥ ①-⑤=△1,435,000円
不動産所得がマイナスになりましたね。
これを給与所得と通算します。
給与の収入が1,200万円ならば、給与所得は1,200万円-220万円
=980万円になります。
仮に所得控除(扶養控除とか社会保険料控除のことです。)が280万円だったならば、給与のみの場合の所得税は、
(980万円-280万円)=700万円
700万円✕23%-636,000円=974,000円になります。
これに、不動産所得のマイナスを「通算」すると、
(980万円-143.5万円)-280万円=556.5万円
556.5万円✕20%-427,500円=685,500円になります。
974,000円-685,500円=288,500円の節税になりました。
「でも赤字になるなら損するじゃん!」って思いますよね?
赤字なのは「最初のうちだけ」なんです。
借入金の利息や減価償却費は年々減少していきますのでいずれ収入が経費を上回ります。
で、借入金を返し終われば純粋に財産だけが残るんです。
2つほど注意点
① 上に示した「前提条件」が現実的かどうか慎重に検討すること
② 節税効果がなくなった後の「着地点」のことも考えること
いい税理士さんなら相談に乗ってくれますよ。
私なら親身にお答えしますけどね。
タイトルに「所得税編」って書きました。
いずれ「相続税編」も書きます。