税理士さっさんのブログ

税に関する豆知識や旬の税金ネタについて専門家の観点から自由に述べます。

アパート経営で節税? 相続税編②

こんにちは。

税理士のさっさんです。

 

今日は全国的に雨模様みたいですね。

重馬場に強い馬は・・・

さらに難しくなりますね。

 

さて、今日は「アパート経営で節税? 相続税編②」について書きます。

前回書ききれなかった、「小規模宅地等」についてです。

 

「小規模宅地等」って何ですかね?

最後に「等」ってあるでしょ?

「小規模宅地」に該当するものは4つ。

① 特定事業用宅地等

② 特定同族会社事業用宅地等

③ 特定居住用宅地等

④ 貸付事業用宅地等

です。

①は、被相続人(亡くなった人)が商売で使っていた土地

②は、被相続人が出資して経営していた会社が使っていた土地

③は、被相続人が住んでいた土地

④は、被相続人が貸していた土地

です。

 

財産をたくさん持っていた方が亡くなったら「相続税」を納付しなければなりません。

上に書いた土地についても時価評価して相続税を計算します。

 

例えば、③の自宅とわずかな現金しかなかった場合でその自宅が都会にあったら、土地の評価額って高くなっちゃうんです。

 

そうすると相続税も高くなっちゃいます。

 

その自宅を引き継ぐ人(相続人)に手持ちの現金がなかったら相続税を払うために自宅を手放さないといけなくなっちゃいますよね?

「それはかわいそうでしょ?」ってことでこの「小規模宅地等の減額」っていう制度があるんです。

で、この制度をうまく使えば相続対策になるんです。

 

例えば次のような財産を所有していたとします。

相続人は子1人と仮定します。

① 自宅 土地99㎡  5,000万円

     建物     1,000万円

② 空地 土地99㎡  5,000万円

③ 現金          500万円

④ 合計       11,500万円

 

この場合の相続税を計算しますね。

① 財産の合計    11,500万円

② 小規模宅地等の減額△4,000万円

 ※算式:5,000万円✕80%

③ 差し引き      7,500万円

④ 控除       △3,600万円

 ※算式:3,000万円+600万円✕法定相続人の数

⑤ 差し引き      3,900万円

⑥ 相続税         580万円

 ※算式:3,900万円✕20%-200万円

になります。相続財産の現金500万円を超えてますから、相続人が80万円「手出し」しないといけませんね。

 

では、銀行から5,000万円借りて「空地」に5,000万円のアパートを建てたらどうなるでしょう。

~空地→アパート敷地~

① 土地(自用地→貸家建付地) 3,950万円

 算式:自用地価額-自用地価額✕借地権割合✕借家兼割合✕賃貸割合

 ※ 借地権割合70%、借家権割合30%で計算しています。

   用語の説明は、「相続税編①」をご参照ください。

 5,000万円-5,000万円✕70%✕30%✕100%=3,950万円

② 建物            2,450万円

 算式:固定資産税評価額(※)✕(1-30%)

 ※固定資産税評価額は「建築価額の70%」と仮定します。

 (5,000万円✕70%)✕(1-30%)=2,450万円

③ 借入金          △5,000万円 

 

相続税の計算~

① 空地以外の財産の合計    6,500万円

② 空地→アパート

(ア)土地           3,950万円

(イ)建物           2,450万円

③ ①+②          12,900万円

④ 小規模宅地等の減額    △5,975万円

 算式:5000万円✕80%+3,950万円✕50%

⑤ 借入金          △5,000万円

⑥ ③-④-⑤         1,925万円

⑦ 控除           △3,600万円

⑧ 差し引き         △1,675万円→0円

 マイナスになりましたので相続税はかかりません。

 

注意点。

① 相続開始前3年以内にアパート経営を開始した場合は「小規模宅地等の減額」の対 

  象になりません。

② 「小規模宅地等の減額」には面積制限があります。

③ 「小規模宅地等の減額」を使った結果、相続税額が0円となる場合でも申告書は提

  出しなければなりません。

 

 相続対策は「早めに長期戦略で行う」のが何よりなんですけどね。

 いつ寿命が来るかわかりませんからね。

 難しいですね。。