消費税 簡易課税選択の落とし穴
こんにちは。
税理士のさっさんです。
今日は、「消費税 簡易課税選択の落とし穴」について書きます。
昨日「消費税 簡易課税制度」について書いたんですけどね、それについての補足になりますかね。
昨日の復習です。
消費税は、売上に含まれる消費税から仕入れに含まれる消費税を差し引いて、事業者が国に納めるのが原則の方法です。これを「本則課税方式」といいます。
一方の「簡易課税」は「仕入れに含まれる消費税」を一定の割合を用いて計算して納税額を算出します。
例えば、小売業で年商1,100万円(消費税100万円)の場合だと、
100万円-(100万円✕80%)=20万円が納税額になります。
で、今日の本題です。
「落とし穴」とは?
たいていの場合、「簡易課税」を選択した方が納税額は少なくて済むんです。
だから、昔「簡易課税制度で計算します!」って税務署に届出を出している事業者さんは、ずっと簡易課税で計算しているんです。
税務署に、「簡易課税で計算するのやめます!」って届出を事前に出さない限り簡易課税で計算しないといけませんからね。
例えばこんなケースがあるんです。
「そろそろ店舗も老朽化してきたから建替えようか。」って場合です。
建設費が1億円(税抜)かかるとしますね。
売上は毎期3000万円、仕入れは2000万円(いずれも税抜)とします。
① 本則課税の場合だと
売上に係る消費税・・・300万円
仕入に係る消費税・・・200万円
建設に係る消費税・・1000万円
300万円-(200万円+1000万円)=△900万円になります。
国から900万円還付されるんです。
② 簡易課税だと
売上に係る消費税・・・300万円
仕入に係る消費税・・・300万円✕80%=240万円
300万円-240万円=60万円になります。
こっちは60万円の納付です。
960万円差が出ちゃいましたね。
気を付けないといけないのは、「どちらの方法で消費税を計算するのか、事前に税務署に届出をする必要がある」ってことなんです。
「事前に」とは、「事業年度(課税期間)開始の日の前日まで」です。
だから、上の例では「建替えを行う事業年度の開始の日の前日まで」に「簡易課税やめます!」っていう届出書を税務署に提出する必要があるんです。
簡易課税で計算してて、近々設備投資の予定がある場合は税理士さんに相談してみてくださいね。